会員からのお知らせ

便利すぎる言葉「地域活性化」【古賀 克之】

「地域活性化」という言葉は使わない、という個人的な趣向の紹介。

 

地域の中小企業は地域社会とのつながりが深いことが多い。そのため、地域に密着した事業を展開している企業の経営を支援していると、各地域で推進されている「地域活性化」に話が及ぶケースも多い。経営者が地域活性化の各種取り組みに参画していたり主導している場合には、成長戦略や経営施策を検討する際に積極的に地域活性化への寄与や相乗効果を狙うことすらある。

 

多くの中小事業者が想定している「地域活性化」とは、わかりやすいメリットをたくさん運んで来てくれるであろう歓迎すべき存在だ。地域の人口増加や消費の活発化は、地域を商圏としている中小事業者の売上や利益の増大に直結する。また、現役世代の人口が増えれば、人を雇いやすくなるといった点からも、事業をやりやすくなる可能性が高い。

 

また、「地域活性化」は一般の住民(市民)にも歓迎されているようだ。その目標や効果としては、もちろん今よりも住みやすくなることが期待されている。「住みやすい」という状態が具体的に何であるかは別として。もっと人が増えて賑やかになることを望む人もいれば、閑静な環境の維持を望む人もいるように、各個人にとっての「住みやすい」は多様である。

 

中小事業者にも一般住民にも人気がある「地域活性化」という言葉は、日本でもっとも愛されている「包括的名称(umbrella term)」の1つではないだろうか。財政施策からボランティア活動まで、あらゆる活動の「正当な目的」として利用できる。また、これさえ実現できれば、あらゆる社会的な課題から個人的な課題までが解決されそうな「無敵性・魔法性・銀の弾丸性」を帯びた言葉でもある。あまりにも多くの要素を内部に含んでおり、ほとんど何も限定していないからこそ万能なのである。

 

とにかく「地域活性化」は大変便利な言葉だ。「地域活性化のために」とか「地域活性化によって」といった具合に目的や根拠に使えば、具体的に何がどうなった状態を想定しているのかを明言しなくて良くなる。一方で、このような言葉には、読み手や聞き手の思考を停止させてしまうリスクがある。普段の会話で使う分には問題ないが、論理的に何かを説明する場合や、意思決定を支援するために情報を提供する場合に使うと、認識や解釈の齟齬が後で問題を引き起こしそうだ。

 

ということで、特にクライアントとの会話やクライアントへ提示する文書においては、「地域活性化」という言葉を使わず、具体的な状態を明示するように留意している。

 

古賀 克之/Class K】

お知らせ一覧に戻る