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睡眠と運動について【米倉 博彦】

(この記事は、福岡県中小企業団体中央会が毎月発行している「NEWSふくおか」2012年8月号に掲載した記事を、許可の上、一部修正を行い転載したものです)

 

 

自分の性能をしっかりと引き出す為には、「睡眠」と「運動」を管理することが重要になる。筆者は個人事業主なので、仕事とプライベートの区別が難しいためなおさらだ。ここでは、睡眠と運動について筆者が調べたことを述べる。

 

1.睡眠

 

しっかりと睡眠をとっておかないと良い仕事はできない。徹夜で遊んだ翌日、仕事の能率がおそろしく低下してしまったという経験は誰にでもあると思う。

 

最近の研究によると、理想の睡眠時間というのは人それぞれだそうだ。筆者の場合5〜6時間くらい寝た日の翌日がもっとも調子がよい。逆にあまり寝過ぎると頭が重たくなってしまい仕事がはかどらない。

 

 

2.仮眠

 

満足できるまで寝るのが一番とはいえ、いろいろな事情で理想の睡眠時間を確保できない方も多いだろう。そんな方におすすめするのが仮眠(昼寝)だ。

 office-sleep

 

 

一説によると、昼の15分の睡眠は夜の2時間〜3時間眠ったのと同じくらいの効果があるそうだ。夜の睡眠時間が多少すくなくても、わずかでも仮眠をとればカバーできるということになる。

 

仮眠に最適な時間帯は午後2時〜午後4時の間らしいのだが、この時間に仮眠を取ることのできる社会人はほとんどいないだろう。現実的には昼休みの一時間を活用することになる。

 

30分以上寝てしまうと逆に疲れがたまるらしいので、仮眠をとる前にコーヒーなどカフェインの入ったものを飲んでおくといい。20分前後でカフェインの効果があらわれて自然に目覚めることができる。

 

 

 

文部科学省の「快適な睡眠の確保に関する総合研究班」が2002年に調査した「午後の作業能率が工場する”正しい昼寝の方法”」によると、もっとも目覚めがよかったのは、コーヒーを飲んでから昼寝をして、目覚めてから通常より明るい照明を浴びたケースだったそうだ。

 

 

よって、仕事術的にもっとも効果的な昼休みの過ごし方は以下のようになる。

 

1)食事をする

2)コーヒーを飲む

3)15分の仮眠

4)軽く外を散歩して日光を浴びる

 

 

仮眠からすっきり回復する方法としては他には以下の方法がある。

 

・ガムをかむ

・顔を洗う

・同僚に話しかける

・体を動かす(ただし、ストレッチは逆効果)

 

余談だが、アメリカでは昼にとる仮眠のことを「パワーナップ(ナップはうたた寝の意味)」と言うそうだ。昼寝というとなにか怠け者のような気がするが、パワーナップと言い換えればまるでデキるビジネスマンの習慣のように聞こえるから不思議だ。

 

 

3.徹夜

 

徹夜での仕事というのは、作業が進んでいるようでいて実は進んでいない。昼間に比べて効率も低下しており、単純なミスも多くなるためできるだけやらないにこしたことはない。

 

とはいっても、トラブル対応などの理由でどうしても不眠不休ではたらなければいけない場合はある。そのときは「多相性睡眠」という方法を活用してみてはどうだろうか。これは、猫や赤ちゃんのように一日に数回の短い眠りを組み合わせるもので、4時間に一回、30分程度の仮眠(合計一日3時間)を取ることで体調を保つことができる。

 

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多相性睡眠は軍隊など長時間の連続行動が必要な組織で研究され、実際に活用されているようだ。

ただし、限度は約2週間。それ以上多相性睡眠の状態で生活すると体に支障がでるのでおすすめできない。

 

 

4.運動

 

健康のために運動する、というのはよくあることだが、仕事のために運動することはあまりないだろう。でも、定期的な運動によって仕事の効率があがるとしたら?

 

近年の研究によって、運動が生物学的変化を引き起こし、脳のニューロンを結びつけることがわかった。脳にとっては運動がなによりの刺激となり、その能力を高めることができるそうだ。

 

特にジョギングやサイクリングなどのいわゆる「有酸素運動」の効果が高いことがわかっている。

 

米国イリノイ州ネーパーヴィルの203学区にある公立高校では、一時限目の授業を行う前に「ゼロ時限」として生徒に有酸素運動を行わせている。生徒たちは胸に心拍数をはかるベルトを付け、最大心拍数の80〜90%の間で運動するよう指示を受けている。

 

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この学区にある学校の成績は常にイリノイ州のベスト10にランキングされており、1999年のTIMSS(国際数学・理科教育動向調査)の理科テストでは日本やシンガポールを凌いで世界一位となった。

 

ゼロ時限を導入した体育教師はこう言っている。「わたしたちの授業では脳細胞を作り出しています」

 

これまた近年の研究で、青年期をすぎてからも脳細胞は増加することがわかっている。アメリカのある高校での取り組みは、日本で働く社会人にも有効なのではないだろうか?

携帯ゲーム機で「脳トレ」にいそしむよりも、朝のジョギングや自転車通勤、最寄り駅の一駅前で降りてのウォーキングなど、仕事前に行う少しきつめの運動があなたの仕事力を大きく向上させるかもしれない。

 

 慣れない運動で仕事中眠くなったらとしたら?そのときは昼休みに15分程度の仮眠をとれば十分だ。

 

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5.まとめ

 

結局、いい仕事をするためには、体のコンディションを常に最適な状態に保たなければならないということだ。

 

エクセルやメモの取り方といった、いわば小手先の「技術」を学ぶよりも、自分がもっとも能力を発揮できる状態でいられるようにしっかりと体調を管理する方法を学ぶことこそが、もっとも効果の高い「仕事術」であるのかもしれない。

 

 

<参考文献>

「脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方」 ジョン・J・レイティ著 NHK出版

「どうしてもがんばらなければならない人の徹夜完全マニュアル」宮崎総一郎、森国功著 中経出版

 

米倉 博彦/flowthink

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