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知的資産活用マップ【田辺 晃】

 

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自社の強みを抽出し、相互関係を矢印で結んだ関係図(クリックすると拡大)。外部環境変化に適合させながら、現在保有する強みをさらにどう発展させていくかを図で表したものである。「知的資産経営」の中で出てくるツールであるが、一般的な経営診断においても有効であり、活用をおすすめする。

ここでは強みを企業の資産と考え、次のように5つの資産に分けている。なお、最初の3つの資産は見えない資産であり、知的資産とも呼ばれる。

 

・人的資産:技能や経験、人脈など、人に付随した資産
・構造資産:しくみや風土など、組織の中に定着している資産
・関係資産:取引先、顧客、金融機関など外部ステークホルダーとの関係性
・物的資産:いわゆる経営資源のモノ(成長ストーリーに強く関係する場合に記載)
・金銭資産:いわゆる経営資源のカネ(成長ストーリーに強く関係する場合に記載)

 

ここで、今後獲得していきたい強みは、赤破線などで標記し区別する。
一般的には左から右、または下から上に因果関係の流れや時間的経過を表現し、最終的には中期的な売上高、利益(率)などの経営目標につなげる。

 

◆作り方のコツ
いきなりこの図を作ろうと思ってもかなり難しい。
まずは関係者へのヒアリングや、関係者によるブレーンストーミングなどで強みや弱み、機会や脅威を抽出しSWOT分析を実施する。その後(強み・弱み)×(機会・脅威)を組み合わせたクロスSWOT分析を一通り行う。このときクロスSWOTを完璧に仕上げる必要はなく、この時点で知的資産活用マップを導入するとよい。
クロスSWOTを行う時に、いくつかの成長ストーリーが頭の中に沸いているはずである。きっちりと明文化できていなくても潜在意識に撒かれたアイデアの種が、知的資産活用マップを作っていく中で開花するのである。
またクロスSWOTを行う中で、達成したい中期経営目標のイメージについても話題に出し意識にあげておくと、のちの展開がスムーズになる。

 

◆作成手順

 

  1. 1)現在保有する資産を丸や四角のオブジェクトで、エクセルなどの画面上に配置する。
  2. 2)それらの因果関係を考慮して、矢印コネクタでつなぐ。
  3. 3)クロスSWOTで抽出された今後の方向や、ここで新たに沸いてきたアイデアをもとに、今後獲得したい資産や中期経営目標を配置する。
  4. 4)現有資産と将来獲得資産、さらには中期経営目標を矢印コネクタでつないでいく。このとき何を行えばそのコネクタが成立するかも同時に考え、特別に必要なことがあれば、コネクタ上にテキストボックスで書き込んでいく。これはその資産を獲得するための施策になる。
  5. 5)資産や施策で数値化できるもの(例:資産→○○有資格者△名、施策→××研修実施年□回)や中期経営目標については目標数値も記入する。これらはそれぞれKPI(Key Performance Indeicator)、KGI(Key Goal Indicator)と呼ばれるものである。
  6. 6)クロスSWOTも含めて全体の整合を取るための微修正を行う

以上の各手順においては、試してみてはじっくり眺め、しっくりくるまで修正を繰り返すことになる。
なお、出来上がったものはかなり煩雑になっているはずである。見直してみて、本筋に関係の薄い枝葉に感じられる部分は思い切って削除すると、全体の見通しが良くなる。

 

◆効果
将来も含めた強み(資産)の因果関係が見える化されることにより、戦略がストーリーで表される。そのため、中期経営目標達成に至る道筋がビビッドにイメージできるので、策定に関わっていない人や金融機関や取引先など外部関係者に対し分かりやすく強い説得力をもつ。この作業を通して、策定に関与した社員のモチベーションが大いにアップするので、戦略を実行に移しやすくなる。
クロスSWOTを行った後はメンバー全員の認識が揃っている。そのため、強みからの発想であっても、単に強みを活かすだけでなく弱点克服や脅威の機会への転化も包摂したよりよい発想を行うことができる。

【田辺 晃・TCCマネジメント代表】

 

◆参考文献
事業価値を高める経営レポート作成マニュアル p28
(中小企業基盤整備機構HP)
http://www.smrj.go.jp/keiei/chitekishisan/059975.html

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